超広角ズームを携えて古の土地へ

東京が2020年に向けて慌ただしさを増す中、古の土地へ穏やかなる時間の流れを求めて西へ。新レンズを携えての、取り分けこの軽さこの小型さのワイドズームとどこまでも行けそうな旅は快適だった。しかし、特筆すべきは軽さや小型さだけではもちろん無い。
まずは京都の水源、琵琶湖を訪れた。湖畔で水面の揺らめきを、白髭神社の大鳥居の時の流れに晒された雄姿とともに、そのディテールを余すところなく優れた描写力をもって写し込んでくれる。隅々まで瑞々しくシャープに。そして豊かな色彩が創設の当時をも彷彿とさせる。
足を進めて大原の竹林に、空高く伸びる竹に寄り添いながら天を仰ぐ。17mmのパースが竹の生命力を引き出す。どこまでも伸びを感じるこのパースがこの軽さで使用できるのが嬉しい。自然と写真撮影のフットワークが軽くなる。またスナップ撮影に欠かせない35mmで対象に寄りながらフォーカスを決め、周囲の美しいボケが視線の流れを柔らかに画面の主役へと誘ってくれる。
いずれもレンズの小型さと軽量さが本来の35mmの使い勝手を支えている。風景のその先をも感じさせる描写力を持つこのレンズ、旅にいつも連れて行きたいレンズである事は間違いないのだ。