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20年を隔てた3冊の「写真絵本」。 写真の力を使って、もっと子どもたちにいろいろなことを伝えていきたいものです。

今回は、女性写真家の沼田早苗さんの登場です。

昨年の中頃、絵本作家の柴田晋吾さんから、アメリカに行って撮った写真で絵本を2冊出版する話をいただきました。このところ中東やアジアの取材が多かったこともあり、久しぶりの絵本も魅力的なので引き受けることにしました。絵本は、訪れた先からお父さんが子供にあてて出した「おとうさんのてがみ」と、孫がおじいちゃんのカメラと一緒に西部劇の舞台になった所を旅する「こわれたしゃしんき」の2冊(いずれも、かんらん社)です。

10月4日から始まった2週間のアメリカの旅は、テレビ取材が付いたハードなものでした。テレビ番組はBS日テレで1時間半の「思い出の音楽紀行」としてこの春に放映され、近いうちにまた再放送されるとのことです。

ニューヨークでは、2日間でルイ・アームストロングの家やハーレムのライブハウスやコットンクラブなど、サッチモがプレイした所を撮影。さらにそこから飛行機で、カントリーミュージックの聖地ナシュビルへ。1925年から放送された全米最古のラジオ番組オープリーが行なわれているレイマン公会堂と、そこで6回のアンコールに応えたハンク・ウイリアムスをめぐるエピソードを取材、そしてグレイハウンドバスでメンフィスへ向かいました。

メンフィスではプレスリーが暮らしたグレースランドを存分にレンズに収め、また飛行機を乗り継いでフラッグスタッフへ飛び、そこから車でルート66を走ります。ハイウェーができたために道沿いの街はさびれてはいましたが、人情味あふれる人々に会うことができました。

モニュメントバレーではおじいちゃんのローライフレックスを入れ込んでの表紙撮影を行ない、そしてラスベガスへ。シナトラのバックでトロンボーンを演奏していたという鈴木さんに「マイ・ウェイ」を演奏してもらい、シナトラがいかにお客さんを楽しませることに努めたか、といった貴重なお話も聞かせていただくことができました。

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エルビスとわたし。 ブルースの聖地でもある、メンフィスのビール通りにて。ここは禁酒法時代に賭博と密造酒で栄えたストリート。古きよき時代の面影がそのまま街並みに残されています。BBキングが所有するライブハウスなど30軒以上が立ち並び、プレスリーにちなんだグッズや楽器などを売るお店も多く、そのうちの一軒の前で撮影したもの。


目の回るようなあわただしい旅と撮影でしたが、デジタルカメラのおかげで空港での面倒なチェックをされることもなく、カメラもパソコンも故障せずに無事入稿をすませることができ、ホッとしたことを思い出します。

実はもう20年前に、俳優・加藤嘉さんのいろいろな表情をモノクロで撮影し、それに天野祐吉さんが「わざと きこえないふりしてる」など、ユーモラスな文をつけた写真絵本「ぼくのおじいちゃんのかお」を福音館書店から出したことがあります。写真を使用したおかげで、レンズで克明に捉えた加藤さんの微妙な表情の変化が子供にも分かりやすかったようで、意外に評判がよかったと聞きました。

写真を使った絵本はまだまだ日本でも少ないそうです。いま3冊の写真絵本を目の前にしていると、あの忙しさも忘れ、また作ってみたい気分になっている今日この頃です。