そもそものきっかけはカメラ雑誌(「月刊カメラマン」)の取材のための青森行きだった。性能が良くてそのわりには大変な低価格と評判のタムロン・28-75mm F2.8ズームレンズが、いったい、どんなところで、どんな人たちによって、どんなふうに作られているのかをじっさいに見てみようではないか、というのが取材のテーマだった。
青森県にある三つの工場 ―― レンズ本体を組み立てる弘前工場、レンズ生産と加工をする浪岡工場、プラスチック成型品製造の大鰐工場 ―― を見学取材させてもらったわけだが、この話をするといつまでたっても終わらぬため以下省略するけれど、当初予想していた以上に丁寧にそして厳しくレンズが作られていたのに少し驚き、感動させられたことは報告しておく。 そしてひとつ余計なことを付け加えるが、レンズ組み立て工場には若い女性が多くそして美人が多かったのにもちょっぴり感動もした。

というわけで、新緑のころ6月に青森を訪れタムロン工場の取材を終えたあと、弘前市内から十和田湖を経由して奥入瀬渓流へと撮影に出かけた。もちろん、生まれたばかりのその28-75mm F2.8を持ってだ。

組み合わせたカメラはデジタル一眼で、つまり28-75mm F2.8ズームとデジタルカメラとの描写相性もチェックしたかったからだが、結論を言えばフィルムとの相性とまったく同じで開放絞り値から優秀な描写力を見せてくれた。 いわゆるAPS-Cサイズの大きさの撮像素子を持つデジタル一眼と組み合わせると、実質的な撮影画角は約45-120mm相当になってしまい広角側で少し不満が出たことは事実だ。 しかし、言うまでもないことだがデジタルカメラにセットしても開放でのF2.8絞り値はズーミングしてもまったく変化はない。 小型軽量の大口径ズームレンズの軽快なフットワークのおかげで、デジタルカメラとの使い勝手の相性はすこぶるよかった。