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人里離れた場所にいても携帯電話は繋がり、インターネット上に広がるウェブサイトはあらゆる情報に溢れ、異なる世界を簡単に覗くことができてしまう。急速に進んだ通信環境の恩恵を多分に受けて暮らしている僕でも、自然のなかへ入るには、ただ静かなほうがいい。

ここにアップした写真は、南北に長い日本の各地を巡り、出合った光景。季節の移ろいが明確な地域がほとんどの日本だが、温暖な南の国を思わせる光景から、凍てつく寒さの風景まで、ほんの僅かな期間で見ることができた。目の前に広がるものが被写体となり、写したいと願う心の動きがあるから撮る。このシンプルさが写真の面白さであり、奥の深さを感じるところ。レンズを向けた自然や風景は、絶えず動き変化する。いつも同じではないからこそ、その時の出合いを大切に、丁寧に撮りたいといつも思う。

新しい90mmマクロ(F004)で見つめたのは、囁きかける自然の姿。マクロレンズと言えば、主に近接撮影の際に活用するものと勝手に捉えてしまいがちで、僕自身もこれまではその意識が強かった。今回、その考えを捨て、いろいろ撮影したなかの15点を改めて見てみると、生命と光を感じる彼方へ僕の興味は注がれていたようだ。

青い光に包まれる日の出前から行動を開始し、暖色に染まる夕焼け空が終わり、辺りが夜の闇へと向かうまで、絞り開放F2.8の明るさは弱い光の中でもフレーミングが決めやすく、極めてシャープに結ばれた像は気持ちよさが湧いてくる。現実感を覚える写真を生み出すにはベストだし、柔らかにぼかした描写からイメージの広がりを誘う世界へと導きたいときにも活躍してくれる。撮影者の意図に呼応するレンズは、撮影する喜びをおおいに与えてくれた。