今回は、「たんぽぽ仙人」こと飄々とした生き方と作風で人気の写真家・八木祥光さんの登場です。

oneclick_vol_68_01

1971年、新宿のニコンサロンで「野路の花」という展覧会をしました。当時は花を撮影する人は皆無の状態でしたが、写真展審査員の三木淳(1919~1992)氏が、「我が国もいずれ環境を問う時代が訪れる、植物の写真も大切」と、推薦していただき実現しました。

それからしばらくしてバブル景気が弾けましたが、時期到来だったのか、ネーチャー写真のブームがやってきて、各地に写真のカルチャー教室ができました。プロからアマチュアのカメラマンが、こぞってネーチャー写真を撮るようになりました。

1970年代の植物の写真は花と葉と茎がしっかりと写った図鑑的写真が主流でした。しかし私はボケ味を重視した写真を目指し、標準レンズに中間リングをはめて花の接写撮影をしていましたが、そんな時、ボケ味の素晴らしいタムロン90mmレンズが発売され、値段も手ごろなこともあり、さっそく買いました。現在も愛用していますが、新しいタイプに衣替えしたこともあり、野の花の撮影に再チャレンジしてみようと思っています。

つい最近、白内障の手術をし、体力の低下を感じるようになりました。”我が人生も残り少なく”長年撮りためた写真をまとめておこうと一念発起、A4の判型で約48ページの写真集を年3冊のペースで出版しています。次号(7号)の内容は、私が50年間にわたり撮影してきた「上高地のケショウヤナギ」をテーマに、今年出版予定でいま編集を進めているところです。

写真の世界もフィルムからデジタルに。そしてパソコンの普及と印刷のデジタル化で印刷原稿が簡単になり、なおかつ低コストで写真集が手軽に出せるようなりました。いよいよこの先、写真界もハード時代からソフト時代に移行していくでしょう。写真人口も驚異的に増え、少部数の私家版の写真集が続々と出版され、それらを取り巻くマーケットもコミック市場のような活況を呈するようになるでしょう。


oneclick_vol_68_02

時代は猛スピードで変化し、発表の手段も変わってくるに違いありません。アマチュアの方々にとっては、自分の写真をさまざまに発表できる良い時代と言えるのではないでしょうか。プロ・アマチュア問わず、自分が一生懸命撮った写真をきちんと形にして残すことの大切さを、しみじみ感じている今日この頃です。


oneclick_vol_68_03

50年にわたって撮り続けてきた上高地のケショウヤナギ(写真集7号より)。

oneclick_vol_68_04

今まで出版した写真集6冊。植物の赤い色をテーマにした『RED』、地球の原始を思わせる形象をモノクロで捉えた『Planet』など、各号に明確なテーマ性を持たせている。 写真集希望の方は下記まで。写真集1号は完売、他は残部あり。 yagiyosi@ruby.ocn.ne.jp