必然から生まれた機能美

「SP」新ラインナップの開発は、高精細化が進むデジタルカメラへの対応をふまえ、これからのレンズのあり方を問う取り組みでした。そこから生まれた最良の機能を、手にするほどに体験できる“必然のフォルム”が、デザインにも求められたのです。たとえば、AF/MFの切り替えやVCのON/OFFスイッチにも、広い横幅を確保することで、操作性を追求しています。

ヒューマンタッチ

内部には技術の粋を集約しながら、外観は機械然とした冷たさではなく、柔らかな人間味を放つこと。その感覚を「ヒューマンタッチ」という言葉で表現し、デザインを進めていきました。各所に有機的な曲線を取り入れることで、周囲の光によって柔らかく表面の光沢が変化する。手に触れたときに、金属製のレンズ鏡筒の感触と、心地よいフィット感が立ち薫る。対物側の化粧リングのカーブにもこだわり、被写体側からの見え方にまで心配りをしています。ユーザーとの“最高のパートナー”を目指す取り組みから、これまでになく人間味あふれるフォルムが生まれました。

ブランドリング

レンズとカメラボディの間に配置されたルミナスゴールドの「ブランドリング」。このリングが、まるで記念日の記憶に輝く指輪のように、ユーザーとタムロンとのつながりを約束する“関係の証”となり、新しい「SP」の象徴になるのです。

デザイン開発者インタビュー
「SP」に、人間味を放つ新たなカタチを

タクラム・デザイン・エンジニアリング
田川 欣哉

すべては「新しいレンズのための、かつてないデザインを」という一言から始まりました。まず、タムロンの経営陣、開発者から海外現地法人まで、多くの人々にインタビューを行い、必要なことは単なる新製品のデザインではなく、タムロンの新しいカタチを描き出すことだという確信を得たのです。

私たちは先端技術と、技術と人の接点であるデザインを融合させるべく、「デザイン・エンジニア」として活動しています。カメラのレンズはまさに最新技術の象徴ともいえる存在ですが、今回はタムロンの技術力を支える人々の息吹がレンズを手にする方々にも伝わり、さらなる愛着を呼ぶような「ヒューマンタッチ」が重要だと考えました。

その上で注目したのが、かつてのタムロン製品のシンボルだったリングです。リングは古代文明においては指や腕、首など、骨と骨をつなぐ関節を守る魔除けであり、現代でも結婚などの大切な“関係の証”として用いられています。そこで、レンズとカメラをつなぐ関係の証となるリングを、マウント部にデザインすることにしたのです。当然、新しい構造を採用するわけですから、機構設計の緻密な調整作業が必要になるなど、外見だけに留まる話ではありません。しかし、これによって「SP」新ラインナップのどんなタイプのレンズにも、同じ位置に美しく輝くルミナスゴールドのリングが現れる。そしてそれが、新しいタムロンそのものを象徴する証になると考えたのです。

また、フォルムには有機的な曲線を用い、親しみやすさ、馴染みやすさを考慮しました。レンズボディには金属を採用し、高性能・高品質にふさわしいものに。スイッチ部分は大きくすることで、柔らかな感触を実現。記載された文字の書体も一からデザインし直し、より見やすいものへ。あらゆる人に使いやすく、ユーザーフレンドリーなデザインを追求しました。

タムロンとお客様の、新しい関係を作り出す試み。ヒューマンタッチから始まる、かつてなく豊かな体験が、このデザインに込められているのです。

takram design engineering
タクラム・デザイン・エンジニアリング

2006年、東京で設立。デザインとエンジニアリングの両分野に精通した「デザイン・エンジニア」集団として注目を集め、スマートフォンなどのソフトウェアから、ロボットなど最先端のハードウェアまで、幅広く製品開発に携わる。国際的なデザイン賞などの受賞も多数。